― ミニマルに潜む、色と音の精密な庭
UK・ブライトン拠点のプロデューサー/DJ、K‑LONE(ケイ・ローン)による新作『sorry i thought you were someone else』がリリース。
Pitchforkでは8.1点を獲得し、彼にとってキャリア最高評価とも言える内容となった。
派手さよりも“質感”“余白”“変化の揺らぎ”にフォーカスしたこの作品を、レビューをもとに振り返る。
📌 アルバム情報
- アーティスト:K‑LONE(ケイ・ローン)
- タイトル:sorry i thought you were someone else
- レーベル:Incienso(主宰:Anthony Naples)
※ K‑LONEといえば自身のWisdom Teethレーベルでの活動が知られるが、今作はなんとAnthony NaplesのInciensoからのリリース。 - スコア:8.1 / 10(Pitchfork)
- リリース日:2025年11月14日
- Apple Musicリンク:
▶︎ sorry i thought you were someone else – K‑LONE
🔍 Pitchforkレビュー要約・聴きどころ
- 本作は、K‑LONEが過去作で築いてきたミニマルでメロディックな音像の“深化形”。
Pitchforkは「洗練されたホームリスニング・ハウス」と位置づけ、クラブより日常と静寂のなかで響くエレクトロニック・ミュージックとして高評価。 - ドラムは控えめで、低音のキックとチッという軽いハイハットによる、ミニマルで安定したリズム。
ベースは空気のように揺れ、音の端にはスポークンワードやぼんやりしたメロディが浮かぶ。 - 「someone else」「sslip」など、楽曲ごとに微細な変化を加えつつも、全体には水面の波紋のような一貫した感触があり、繊細な構成が光る。
- Pitchforkは、「穏やかだけど、どこかで心が跳ねる瞬間がある」とし、静けさの中にあるエモーションに注目していた。
💬 所感(個人的な印象)
このアルバム、最初聴いたときは「静かだな」と思った。勢いや派手さ――それは少ない。
でも、何回も聴き返すほどに、その“静けさ”の中に咲く色が見えてきた。
反復されるビートと、少しずつ形を変えていく音像がとにかく心地よく、まさに“家で聴くハウス”として、最適なバランスを持っていると感じた。
繊細なドラムの質感、淡く漂うコード、耳の奥で鳴るサンプル。どれもが控えめなのに、存在感がしっかりある。
まるで夜明け前の空の色のように、闇と光のあわいに浮かぶ音。派手なクラブトラックではないけど、「酔いをさます」「深く考える」「ただ過ごす」──そんな時間にじんわり寄り添う一枚。
結果的に、K‑LONE にとって“研ぎ澄ましの極み”を聴かせてくれた作品。
個人的には2025年のベスト・エレクトロニックのひとつかも。
そして、ジャケットに浮かんでいる“人か動物かよく分からんもの”が気になって仕方ない。
ジャケの曖昧さと浮遊感も、このアルバムの音像と通じていて、すごく好き。

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