── 批評と現場が一致した12作
PitchforkとBoomkatは、同じ「年間ベスト」を発表しているが、
その役割は大きく異なる。
Pitchforkは、批評メディアとして
その年をどう記憶させるかを編集する。
一方、Boomkatはレコードショップとして
現場で鳴っている音、手に取られている音を記録する。
立場も読者も評価軸も違う2者が、
それでも同時に選んだアルバムがある。
そこには、2025年という年において
一過性ではない音楽の条件が浮かび上がる。
PitchforkとBoomkatがともに選んだ、2025年の重要作
(Boomkat順位準拠)
- Joanne Robertson – Blurrr
- caroline – caroline 2
- Oklou – choke enough
- Smerz – Big City Life
- Dijon – Baby
- Blawan – SickElixir
- Barker – Stochastic Drift
- billy woods – GOLLIWOG
- Oneohtrix Point Never – Tranquilizer
- Nourished by Time – The Passionate Ones
- Panda Bear – Sinister Grift
※上記はいずれも Pitchfork Best Albums 2025 と
Boomkat End of Year Charts 2025 の両方に明示的に掲載された作品。
この1作が示している、はっきりした傾向
ジャンルは多様だ。
- フォーク/アンビエント
- インディ/ポストロック
- 実験ポップ
- R&B
- テクノ
- ラップ
- 電子音楽
しかし、評価されたポイントは驚くほど共通している。
共通項は以下の通りだ。
- 即効性がない
- クライマックスを誇示しない
- 質感と持続性が主役
- 繰り返し聴くことで輪郭が立つ
- 生活・空間・時間と結びつく
2025年、
批評(Pitchfork)と現場(Boomkat)が一致したのは、
「静かに、長く鳴る音楽」だった。
順位から見える流れ
Boomkatの順位順で見ると、
この12作はきれいな流れを描いている。
上位(1–2)
Joanne Robertson、caroline
→ 静けさ・距離感・生活音
→ 音楽が「居場所」になる瞬間。
中盤前半(3–6)
Oklou、Smerz、Dijon
→ ポップの再定義
→ フックではなく質感で成立するポップ。
中盤後半(7–10)
Blawan、Barker、billy woods、Oneohtrix Point Never
→ 構造と強度
→ クラブ/ラップ/電子音楽の更新。
終盤(11–12)
Nourished by Time、Panda Bear
→ 文脈の再構築
→ ポップやサイケが、どう残るか。
なぜ、この一致が重要なのか
PitchforkとBoomkatは、
同じ役割を担っていない。
- Pitchfork:記憶を編集する
- Boomkat:発見を保存する
それでもこの12作が重なったという事実は、
好みや流行の問題ではない。
2025年において、
音楽は「目立つこと」よりも
時間に耐えることを求められていた。
その条件を満たした作品だけが、
批評と現場の両方に残った。
結論
2025年は、派手な年ではなかった。
だが、静かに強い年だった。
PitchforkとBoomkatが同時に選んだこの12作は、
そのことをはっきりと示している。
流行ではなく、
ジャンルでもなく、
時間と空間に残る音楽。
それが、2025年の答えだった。

コメントを残す