Fred again.. — USB002 レビュー:無限に更新される“USBプロジェクト”の現在地


評価:6.4 / 10
ジャンル:ポップ/R&B/ラップ/エレクトロニック
リリース:2025年12月
レーベル:Atlantic
レビュアー:Archie Forde(Pitchfork)
(引用元:Pitchfork公式レビュー)


🔌 USBプロジェクトとは?

Fred again.. が2024年以降に本格始動させた “USBプロジェクト” は、従来のアルバムではなく、ライブと並行して常にアップデートされる「無限のアルバム」 というコンセプトを掲げたシリーズです。

  • アルバムというより “進化し続けるプレイリスト/アーカイブ”
  • 楽曲はツアーのタイミングに合わせて追加・更新される
  • 収録曲は10曲前後に見えても、デジタルでは実際に30〜40曲へ拡張されることも
  • Fred again.. がDJセットで試したアイデアや、各都市の空気感を反映した楽曲群がリアルタイムで共有される

つまりUSBプロジェクトは、作品を「完成品」として提示するのではなく、聴き手と同じ時間軸で“生成されていく音楽”を公開する試みと言える。

USB002 はこのシリーズの最新作であり、10週間・10都市ツアーと連動し、膨大なトラックが順次追加された結果、デジタルでは34曲という大規模な作品となった。


🎧 USB002 の全体像:クラブ特化のサウンドへの転換

Fred again.. がこれまで見せてきたメランコリックなポップや、UKガラージ〜ハウスの情緒的な側面とは異なり、USB002 では クラブ・フォーカスの強いダンスミュージック が中心を占める。

ベースは太く、ビートはストレートで、鋭いサンプル処理とキャッチーなフックが連続する。いわば “フェス/クラブ向けのFred again..” を明確に打ち出した作品だ。

代表的な瞬間としては:

  • BIAを迎えた「..FEISTY」のアグレッシブなラップと跳ねるビート
  • 「solo」が持つ、甘くも切ないメロディとgatedコードの余韻

いずれもその場で身体が反応するタイプのトラックが多く、彼のライブ現場を主戦場とするサウンドデザインが如実に表れている。


🤝 多彩なゲスト陣と、その“扱い”

本作には、Danny Brown、Floating Points、Caribou、Amyl and the Sniffers など、ジャンルを越えた豪華アーティストが参加している。

ただしPitchforkは、
「ゲストの個性がFred again.. の統一された美学の中に吸収されすぎている」
と指摘している。

特にCaribouやFloating Pointsのような、強い音楽的個性を持つアーティストでさえ、作品全体の“Fred again..らしさ”に溶け込みすぎてしまい、存在感が希薄になっている点が議論の対象となった。


📀 Pitchforkの総評:革新的だが“一貫性に欠ける”

Pitchforkは USB002 を、以下のように位置づけている:

  • 形式としては革新的で、現代的なデジタルアルバムの新しい提案である
  • だが、膨大な曲数とプレイリスト的構成により、アルバムとしての深度や統一感が弱い

Fred again.. の高いプロダクション能力は随所に見られるものの、
「USBプロジェクト」という枠組みの革新性が、音楽的な冒険を必ずしも保証しているわけではない
というニュアンスの評価となっている。


🧠 まとめ:進化するプロジェクトの“現在地”

  • USBプロジェクトは “アップデートされ続ける無限アルバム” という斬新なコンセプト
  • USB002 はクラブ・ダンスミュージックに大きく振り切った作品
  • 豪華ゲストは参加しているが、Fred again.. の枠組みの中に統合される形が強い
  • 革新性はある一方で、音楽的な一貫性については賛否の分かれる内容


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です