Pitchfork「Best Albums of 2025」50枚のと私的ベストアルバム10選

2025年の音楽を、どう聴いたか

2025年の音楽を振り返るにあたって、
まず自分の好みを並べる前に、全体の地形を確認することから始めた。
起点にしたのは、Pitchforkの「Best Albums of 2025」。
いわゆる“正解集”としてではなく、
自分の聴取の偏りを壊すための入口として、このリストに飛び込んだ。
というのも、放っておくと自分は、
どうしても同じような音楽ばかりを繰り返し聴いてしまう。
だから2025年は、意識的にBest New Music(BNM)に身を預け、
その中から「本当に残るもの」を拾い上げていく、という聴き方を選んだ。

① ジャンル分布から見える、2025年の地形

Pitchfork Best Albums 2025(50枚)を主ジャンルで集計すると、
以下のような分布になった。

  • Rock:26%
  • Pop / R&B:24%
  • Electronic:16%
  • Rap:16%
  • Experimental:16%
  • Folk:2%

特定ジャンルが支配する年ではない。

RockとPop / R&Bがやや多いものの、
Electronic、Rap、Experimentalが横並びで存在感を持つ。
2025年は、派手さよりも質感や空気、構造が重視された年だった。

② 順位帯別に見る、Pitchforkの編集構造

次に、順位帯ごとのBNM比率を見てみる。

  • 1–10位:BNM比率 90%
  • 11–25位:BNM比率 73%
  • 26–50位:BNM比率 64%

上位に行くほどBNMが集中し、
下位に行くほどBNM外の作品が増えていく。つまりPitchforkは、

  • 上位で「その年の記憶」を固め
  • 中位で評価と揺らぎを混在させ
  • 下位で探索の余地を残す

という構造で、このリストを編集している。
これは、Best Songs編で見えた構造とも一致していた。

③ 自分が一番惹かれたゾーン

では、その構造の中で、
自分はどこに一番惹かれていたのか。
結論から言うと、
11–25位と26–50位の境界あたりだった。
1–10位は完成度が高く、評価として美しい。
だが、自分の生活の中で何度も再生されたのは、
評価が少し揺らぎ、クセのある作品が集まる中位〜下位だった。
「引っ張られた」というより、
安心して飛び込めたという感覚に近い。

④ 2025年に、時間に耐えて残った10枚

以上を踏まえたうえで、
2025年に最終的に残ったアルバムは、この10枚だった。

1. Smerz – Big City Life

冷たさと温度、都市と瞑想。
BNMに飛び込んだ結果、
一番はっきりと「好みが更新された」と言える存在。

2. Barker – Stochastic Drift

キックのない疾走、
構造そのものがグルーヴになる感覚。
Electronic/Experimentalが2025年の“安心ゾーン”になった理由を象徴する一枚。

3. Justin Bieber – SWAG

派手さを削ぎ落とした先に残るメロディと声。
ポップもまた、時間に耐えうることを証明した作品。

4. Far Caspian – Autofiction(※BNM外)

生活に溶け込むインディロック。
特定の感情に寄り添うというより、
どんな状態のときにも聴ける音楽だ。
同じ曲でも、気分が上がることもあれば、
静かに沈んでいくこともある。
感情を導くのではなく、受け止め方をこちらに委ねてくれる。
だからこそ、生活の中で何度も戻ってきた。

5. Alex G – Headlights

物語性と違和感のバランス。
ロックはまだ更新できる、という実感を与えてくれた。

6. Ryan Davis & the Roadhouse Band – New Threats From the Soul

歌心と実験性が同居する、覚えやすくて厄介な音楽。
Pitchforkの評価と、自分の耳が最も自然に重なった一枚。

7. Maria Somerville – Luster

ドリーミーでノイズ感のある文脈にありながら、
よりアンビエントで、風景として残る音。

8. サトミマガエ – Taba(※BNM外)

音源だけでなく、体験として残った作品。
ライブで聴いたことで、この音楽は記憶の深層に入った。

9. Joanne Robertson – Blurrr

言葉にならない感情を、そのまま差し出すような音。
2025年のExperimentalが、どこまで静かになれたかを示していた。

10. Jeffre Cantu-Ledesma – Gift Songs

生活に寄り添う、優しいアンビエント。
主張はほとんどないように聴こえ、気づけば部屋の空気の一部になっているような音楽だ。
集中して聴くというより、生活の中で鳴り続けていることにも意味がある。
2025年の終わりに残ったのは、強いメッセージよりも、
こうした静かな支えだった。

結論|数より、重さ

この10枚に共通しているのは、初聴で分かりやすい強さではなく、
時間の中で温度が変わっていくことだった。
2025年は、音楽を「消費」する年ではなく、
生活の中で聴き続ける年だった。
50枚を網羅し、構造を理解したうえで、それでも最後に残ったのが、この10枚だった。

それで十分だと思う。
2026年はどんな音楽との出会いが待っているか、今から楽しみだ。

順位アーティストアルバム主ジャンルBNM
50Sharp PinsRadio DDRRockYes
49BassvictimForeverElectronicNo
48Perfume GeniusGloryRock/Pop/R&BNo
47james KFriendElectronicNo
46Cleo ReedCuntryElectronicNo
45MIKEShowbiz!RapYes
44AnnahstasiaTetherFolk/Country/Pop/R&BYes
43Panda BearSinister GriftElectronicYes
42FKA twigsEUSEXUAElectronic/Pop/R&BYes
41KP SkywalkaI Tried to Tell YouRapYes
40keiyaAhooke’s lawPop/R&BNo
39CheREST IN BASSRapYes
38Hayden PedigoI’ll Be Waving as You Drive AwayRockYes
37BlawanSickElixirElectronicNo
36Wet LegmoisturizerRockNo
35Playboi CartiMUSICRapNo
34Lucrecia DaltA Danger to OurselvesExperimentalYes
33Ichiko AobaLuminescent CreaturesExperimentalYes
32WNC WhopBezzy / 70th Street CarlosOut the BlueRapYes
31Ryan Davis & the Roadhouse BandNew Threats From the SoulRockYes
30Oneohtrix Point NeverTranquilizerExperimentalYes
29YHWH Nailgun45 PoundsRockYes
28carolinecaroline 2RockYes
27DjrumUnder Tangled SilenceElectronicYes
26Erika de CasierLifetimePop/R&BNo
25Rochelle JordanThrough the WallPop/R&BYes
24Blood OrangeEssex HoneyPop/R&BNo
23Alex GHeadlightsRockYes
22ayahexed!ExperimentalYes
21billy woodsGOLLIWOGRapYes
20Nick LeónA Tropical EntropyElectronicYes
19TitanicHAGENExperimentalNo
18PinkPantheressFancy ThatPop/R&B/ElectronicNo
17Water From Your EyesIt’s a Beautiful PlaceRockYes
16RosalíaLUXPop/R&BYes
15Earl SweatshirtLive Laugh LoveRapYes
14BarkerStochastic DriftElectronicYes
13Sudan ArchivesThe BPMPop/R&BYes
12Addison RaeAddisonPop/R&BNo
11SmerzBig City LifePop/R&BYes
10AmaaraeBlack StarPop/R&BYes
9Nourished by TimeThe Passionate OnesPop/R&BYes
8Joanne RobertsonBlurrrExperimentalYes
7GeeseGetting KilledRockYes
6WednesdayBleedsRockYes
5Bad BunnyDeBÍ TiRAR MáS FOToSRap/Pop/R&BYes
4Oklouchoke enoughPop/R&BNo
3Cameron WinterHeavy MetalRockYes
2DijonBabyPop/R&BYes
1Los ThuthanakaLos ThuthanakaExperimentalYes


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