Pitchfork Album Reviews まとめ #02


Best Albums 2025 発表後:ジャンルが拡散する新譜4作

Pitchforkの「Best Albums of 2025」発表後に公開された
Album Reviews を、時系列で追いかけるシリーズ第2回

前回(#01)では、
フォーク、実験ジャズ、パワーポップ、ラップと、
ジャンルは散りつつも **「質感」「構造」「持続性」**が評価軸として共通していた。

今回はそれをさらに押し広げるように、
ポストハードコア、ポップ、R&B、ハイパーポップ/EDMと、
ジャンルが大きく拡散した4作が並ぶ。


今回まとめた作品一覧
アーティストアルバム主ジャンルスコア
ira glassjoy is no knocking nationRock / Post-hardcore / Noise Rock7.4
Aya NakamuraDestinéePop / R&B / Afrobeats / Zouk6.9
JMSN…it’s only about u if you think it is.Pop / R&B / Alt-Rock6.3
The DeepKPOP B!TCHElectronic / Hyperpop / EDM6.7

ira glass – joy is no knocking nation(7.4)

シカゴのポストハードコア/ノイズロック・バンドによるEP(アルバム扱い)。
過去50年分のパンク/ハードコアを咀嚼したような、濃密な19分が詰め込まれている。

サックスの鋭い響きと、
スクリーモ的なエネルギーが激しくぶつかり合う一方で、
音の配置や展開には明確な制御が感じられる。
混沌と秩序が同時に立ち上がる、緊張感の高い作品だ。


Aya Nakamura – Destinée(6.9)

フランス系マリ出身のポップ/R&Bアーティストによる5作目。
自身を取り巻く論争や視線を背景に、
より強度のあるサウンドへと踏み込んだ印象がある。

AfrobeatsやZoukの要素を織り交ぜながら、
甘さと強さが同居するメロディでポップ性を押し出す。
メインストリームの中での立ち位置を、
改めて確認するような一枚だ。


JMSN – …it’s only about u if you think it is.(6.3)

R&Bを基盤とするシンガーソングライターが、
90年代オルタナ/グランジ的な質感を取り込んだ作品。

音作り自体は丁寧で、
ロック的な歪みや陰影も効果的に使われている。
一方で、ポップ性と実験性のバランスはやや不安定で、
その点が評価を分ける結果になっている。


The Deep – KPOP B!TCH(6.7)

韓国出身のアーティストによるデビューアルバム。
2000年代クラブカルチャーと、
現代のハイパーポップ/EDMを正面から融合させた作品だ。

刺激的で高揚感のあるトラックが並ぶ一方、
ノスタルジックな要素と過剰な音響がせめぎ合う。
勢いと過多さが同居した、賛否を呼びやすい一枚と言える。


まとめ

今回の4作は、
ジャンルもスコアもばらけている。

それでもPitchforkの視線には一貫性がある。

  • ジャンルの純度より 姿勢
  • 完成度より 試み
  • 即効性より 位置取り

Best Albums 2025発表後のPitchforkは、
「次に何が来るか」ではなく、
**「どこまで拡散できるか」**を静かに試しているように見える。

次回(#03)も、この流れを保ったまま、
新たに公開された Album Reviews を時系列でまとめていく予定だ。


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